この時刻でもそれだけ込んでいる。
ラッシュのピークは八時から八時半くらいだが、その時間帯の込み様はすごい。
東京の通勤時間のラッシュ時と大差ないかも知れない。
五年前より明らかにひどくなっている。
日本のサラリーマンと違って、イギリス人はこれまでスシ詰めのラッシュを経験していなかったから、さぞかし不快な思いをしながら乗っているだろう。
ラッシュにもみくちゃにされたくない人は、自家用車で通勤することを選ぶ。
その結果、ロンドンの道路は込み、空気も悪くなったのである。
これを緩和するために、二○○三年からロンドンに乗り入れて来る自動車には「混雑税」という税金が課せられるようになった。
自動車で通勤する人はかなり減った。
だが、通勤電車は逆にますます混雑するようになった。
公共の交通機関を使うことは環境面からも良いことであろうが、自家用車で通勤する人たちにはそれなりの理由がある。
前述したように、電車の運行がきわめて不規則で、あてにならないのである。
よく遅れるし、よく運行中止になる。
東京の山手線のように二、三分に一本の割に来るのならよいが、郊外からロンドンに向かう電車は、二十分から三十分に一本しかない。
それが遅れたり、時にはいきなり運休になったりするからたまらない。
遅れや運休の原因はいろいろある。
機材や信号の故障など技術的な理由に加えて、「ショートスタッフ(職員の不足)」などというのもある。
つまり、何かの理由で、「運転士が確保できない」から運休することが本当にあるのだ。
なぜそれが分かるかといえば、駅で放送が流れるからであ「六時十五分発ロンドン・ヴィクトリア駅行きの電車は、ショートスタッフのため、運休します。お急ぎのところ、申し訳ありません」というような放送がプラットホームに流れるのである。
一度、電車が大幅に遅れた時に流れた放送には驚いた。
「今朝は落ち葉の影響で、電車が大幅に遅れています」落ち葉と何の関係があるのだと駅員に聞いたら、「たくさんの枯れ葉が線路に付着して、車輪が滑りやすくなっており、電車は徐行しているから遅れる」との説明だった。
ちょうど季節は秋。
イギリスには木が多い。
それで納得はしたものの、これが日本の鉄道ならば、始発時間までに、保全係の人たちがきれいに掃除してしまうだろうと思ったものだ。
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